top of page

テクノロジーを通して医療と働く人の距離を無くす

更新日:8月23日



今回は、2016年4月に京都大学大学院医学研究科から誕生した、ヘルスケアのBtoB事業を展開する株式会社バックテックを独占取材。福谷直人代表取締役CEOにインタビューし、株式会社バックテックを創業するきっかけ、現在展開されるサービスと届けたい想い、そして株式会社バックテックで働く人はどんな方々なのか、密着取材を行った。


代表プロフィール:

京都大学大学院医学研究科で博士号取得後、株式会社バックテックを創業。 理学療法士として臨床現場で感じた原体験・課題感をもとにポケットセラピストを開発。

現在、産業医科大学および京都大学大学院にて研究員を兼務しながら、エビデンスに基づく事業開発を進める。



目次:


 

株式会社バックテックとは?

株式会社バックテックはどの様な企業ですか?

法人で働く従業員の方々のメンタルやフィジカルなどの課題に寄り添い、企業全体の生産性を上げていくサービスを展開しています。 会社の理念としては、社会を健康に。企業だけではなく、そこで働く従業員や家族、そして人々の健康を支える医療職、 これら全てのステークホルダーが幸せになることを理念に掲げて事業推進をしています。


サービス内容を教えていただけますか?

ちょっとした不調や不安を抱えた際、忙しくてすぐに病院へ行けない方、病院に行くまでもないと自身で判断してしまう方が、働いている方々に多くいらっしゃるという現状があります。そういった方々に対して、365日、朝の6時から23時まで、いつでもどこでも医療職のカウンセリングセッションを受けられる、ポケットセラピストというサービスをメインのサービスとして展開しています。働く方々のフィジカル、そしてメンタルのコンディションが良くなり、会社全体としての生産性が向上する。働く人が常に自身の健康状態を理解することで、無駄な医療費を使わなくなり、医療費の適正化が可能になる。これらを実感していただくために、利用状況や費用対効果などを管理者画面のダッシュボードとして提供したり、効果判定レポートを発行したりしています。


なぜそのサービスを提供しようと思われたのでしょうか?

私自身が、理学療法士という資格を持ち、リハビリの専門職として様々な患者様を現場で見てきました。そこで目にしたのが、 働きながら病院に行く時間をなかなか作れない方々や、病院に通うために仕事を辞め、ようやく受診できるようになったと仰る方々でした。そういった患者様を現場で見た際に、医療機関で医療職が待ち受けるだけの社会構造に課題感を覚え、テクノロジーを生かして良質な医療へのアクセシビリティを良くできるのではないかと考えサービスを開発するに至りました。


株式会社バックテックを創業したきっかけが、その体験だったのでしょうか?

会社を創業したきっかけとして、先ほどの体験は大きなきっかけとなっています。
ただ、その体験だけでは創業が選択肢にはなっていませんでした。自分がやりたい事を実現する為の手段として起業も選択肢にあるなと考えた程度です。実際に起業するきっかけとなったもう1つの要因が、京都大学の大学院生向けに提供されていた、起業家育成プログラムです。
そこでは大学院生が集まり、それぞれのビジョンや自分のやりたいこと、技術などを発表し、大企業の方々から支援を受け、3か月から6か月程度でプロトタイプを作り、実際に市場に出していくというプログラムが行われていました。私は、その場所で初めてビジネスを学びました。そして、自分自身の自己実現のためには「起業すること」がより良い方法なのではと気付くきっかけになりました。




 

創業時の試行錯誤と、創業後に気付いた人とお金の難しさ



創業前のご経験を教えていただけますか?

創業前は、病院で勤務しながら大学院生で博士論文を書き、空いている時間でプロトタイプを作りながら、ユーザーヒアリングに行くなどをしていました。
その中でも特に大変だったのは、このサービスが本当にマネタイズできるのかをヒアリングして周っていた当時、健康経営や従業員の健康に投資するという文化が全くなかったことです。なぜ会社が従業員にお金を払わないといけないのか、というようなご回答がほとんどでした。自分が目指している世界を作りたいけれども、企業や人事部の方々の価値観やニーズと合わない。
ではどういったサービスにすれば受け入れてもらえるのか、という試行錯誤の繰り返しが、創業前に大変だった事ですかね。 


創業後に大変だった経験も教えていただけますでしょうか?

創業後も苦労の毎日でした。
その中でも大変だった事は、ファイナンス、そして人、組織を作るという部分です。ファイナンスの面では、事業を説明して資金を調達する面でとても苦労しました。一般的に肩こりや腰痛は、実際に体を触って診察してもらうという感覚だと思います。
一方で、我々はそれらをオンラインで解決するというサービスになっています。一般的な感覚からすると、よくわからないサービスなんですよね。そういった点が、投資家の方々からも、「そんなサービスは聞いたことがない」「本当に良くなるのか」という疑いの目で捉えられていました。そういった部分を投資家の方々に対して証明し、実際に出資をしていただくことがとても大変だった事です。
人、組織を作るという面では、私自身が医療現場でしか働いたことがなかったので、 会社組織の作り方や、仲間集めがとても大変だったなと感じます。様々な友人に声をかけ、一人ひとりに事業を説明する。そして何とか、同じ未来に向かって一緒に歩めるようになっていく、こういった部分がここまで大変だとは思っていませんでした。


 

株式会社バックテックで働く人は「人格者」であって欲しい



株式会社バックテックと相性のいい人材はどういった方でしょうか?

我々が採用で1番重要視していることは、「人格者」であるかという部分です。
スキルや経験は置いておいて、まずそもそも人として信頼できるか、人格者であるか、謙虚であるか、そういった人間性の部分を、我々は、優先的に重要視しています。仮にスキルセットがあったとしても、人格者かどうかの部分に違和感を感じる場合は、お断りをさせていただいています。
なので、今株式会社バックテックで働いていただいている方々の特徴は、皆さんが素直で謙虚で、ひたむきに前向きに頑張るメンバーが揃っていることだと思います。


会社内でのコミュニケーションで大切にされている事はありますか?

社員とのコミュニケーションでは、役職の有無に関係なく、同じ理念の達成を目指す仲間だと思っているので、基本的にフラットに考えて、お互いの強みを活かし合いながらできる組織を作りたいと思っています。役員からも積極的に話しかけるようにしたり、仕事以外の面でも多くのコミュニケーションを意識的にとるようにしています。


株式会社バックテックの働き方を教えていただけますか?

働き方に関しては、フレックス制度を導入しています。コアタイムは11時から16時です。 月曜日から木曜日は基本的に出社をして、金曜日はテレワーク推奨日という形で働いています。 テレワークがいいなという方も絶対に出てくると思ってはおります。
なので、そういった方々がオフィスに来たくなるような、朝起きて会社に来て、仲間と一緒に話したいなと思える環境作りは徹底的に考えていきたいと思っています。オフィスでは、透明性があるコミュニケーションを、そして色々な議論や、突発的なコミュニケーションがすぐできる環境作り、文化作りを意識して取り組んでいます。


社員の皆様に期待されている事は何ですか?

社員に対してのメッセージは1つで、とにかくスタートアップに来たんだから、思いっきり失敗して欲しい。失敗を恐れずチャレンジして欲しいと思っています。やっぱり起業家は、自分が作りたい社会があるから起業しているので、自分のやりたいことをただ趣味のようにやっている感覚です。
一方で、社員の人たちは様々な選択肢、様々な会社で働く候補がある中で、うちに来ていただいた。そしてそれが、大手企業ではなくスタートアップだった。
ならばこの会社に来たからには、何回でもチャレンジをし続けられる環境を活かしたキャリアを歩んでほしい。それで色々失敗するかもしれませんが、その先にある大きな果実を目指して、どんどんキャリアを発展していただけると、すごく嬉しいなと思います。


今後はどのように組織を拡大していく予定ですか?

バックテックのビジネスは、急激に社員数を伸ばす必要のあるビジネスではありません。
ビジネスモデルからしても、社員数が増えれば業績が上がるかというと、そうではないと考えています。 一方で、組織、人が事業を作るという点は間違いないと思っているので、引き続きどの職種も積極的に採用をしていきたいと思っています。
例えば、予算がないからとか、あとはこのポジションが埋まったから採用しないということは一切せず、埋まったとしても、いい人がいたらどんどん採用していき、大きな組織を作っていきたいなと思っています。


 

株式会社バックテックの今後の展開



ターゲットとされる市場、その規模感を教えていただけますか?

我々が目指している市場は、人的資本経営や健康経営の市場です。
今現在、日本の労働市場は人材不足の時代になっています。2100年には、日本人の労働力は最悪のケースで5000万人ぐらいになるとも言われています。そうなると、今の生産性やGDPを維持するためには、単純計算で1人当たり2倍以上働かなきゃいけない。すると、1人の労働者にかかる負担が大きくなってしまう。
このマーケットは、約1.2兆円ぐらいの規模があります。セグメントは様々に分かれていますが、その中でも「健康増進」の部分、このセグメントが大体8000億円ぐらいの規模になっています。その市場をしっかりと実績を積み上げながら取っていくことを考えています。


サービスの今後の展望も教えていただけますか?

サービスの展望に関しては、オンラインでのサービス提供のみだったポケットセラピストを、リアルでもオンラインでも価値提供できる事を目指し拡大していきたいと思っています。
コロナ禍を経て、リアルなニーズがかなり増えてきており、最近は実際に現場に行って出張して施術をするなどを試験的に行っています。
医療専門職を多く、低単価でマーケティングできることが我々の強みでもあるので、日本全国に我々の経済圏に関わる医療職を増やして、リアルでもオンライン価値提供できるビジネスモデルを拡大をしていきたいです。


どの様な方々に貴社のサービスを使っていただきたいですか?

特に使っていただきたい企業様としては、人材が資産である事業を展開されている企業様です。
例えば、SIerの企業様ですと、同時進行で進んでいる受託案件が沢山あり、納期が迫ってるとか、いろんな仕様変更とか、非常にストレスフルなエンジニアの方々が増えてます。そういった方々が倒れてしまうと日本の未来もないと思いますので、ぜひご活用いただきたいです。その他には、コンサルティングファームの企業様など、人が動いて価値を創出する業種に我々のサービスがよりフィットすると思っています。


最後に、今後の目標を教えていただけますか?

私が会社を作った意味は、法人格という新しい人格を作ることにあると思っています。
我々1人1人が生きていくと、せいぜい100年ぐらいしか生きれない。 ですが法人格は、自分たちの寿命以上の、100年、200年続くことができます。なので会社としての目標は、我々の子供の世代、その次の世代にも当たり前に残っていくような会社を作りたい。 次の世代にいいバトンを渡せるような、そんな会社を作っていきたいと思っています。
我々のサービスは今後の社会に必ず必要なサービスだと思っています。 極端な例かもしれませんが、今の労働人口は6,900万人です。その全ての方々が、ポケットセラピストを使い、すぐそばにセラピストがいる安心感を感じながら、お仕事や生活を送っていただけるようにしていきたい。なので、就職したら必ず、ポケットセラピストがスマートフォンにインストールされていて、その方々のコンディションをサポートするパートナーとして居続ける。そんな世界観をしっかり描いていきたいです。その結果、しっかりと我々も成長し、売上規模100億円には最低限到達したいと思っています。 すると、そこまでで得た経験や様々なリターンがあると思います。それを、また新たな社会のエコシステムに還元をしていく、これが私たちの目指している目標です。

福谷様、どうもありがとうございました。



閲覧数:179回0件のコメント

Comentarios


bottom of page