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DX推進に潜む課題解決へ

更新日:8月23日


メッシュウェル

今回は、テックタッチ株式会社様への企業インタビュー。井無田 仲様に対し、同社が解決したい課題、提供サービスの強み、今後の組織づくり、採用計画についてお伺いしました。

記事は1部(事業&サービスについて)&2部(組織と採用について)の構成でお届けいたします。


プロフィール:

慶應義塾大学法学部、コロンビア大学MBA卒。新生銀行、ドイツ証券などで投資銀行業務に従事、上場企業の資金調達/M&A案件を数多く手がける。その後入社したユナイテッド社では、アプリ事業責任者、米国子会社代表としてアプリサービスのグロース/スケールを経験。フリーランスを経て、2018年3月にテックタッチをCTOの日比野様と共同創業。楽しい未来を創るために日々奔走中。



目次:


 

きっかけは「システムの作り手とユーザーのギャップ」

まずは会社とサービス概要について教えてください。

弊社は2018年3月に設立したスタートアップで、今年で7期目を迎えます。従業員数は2024年5月現在で121名です。
我々は、ユーザーが新しく導入したシステム上で必要となる複雑なオペレーションや操作を、誰もが呼吸をするように簡単に使える世界を実現できるソリューション「テックタッチ」の開発および提供をしています。
テックタッチのソリューションは、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)と呼ばれるジャンルに属し、「デジタル=IT」を、「アダプション=使いこなす」ためのプラットフォームという意味合いです。今後の世の中においてはRPAと同じように頭文字を取ってDAP(ディーエーピー)と呼ばれることが増えていくと思います。


井無田様がDAPの領域に着目されたきっかけを教えてください。

元々私は金融業界でキャリアをスタートしており、そのあとはスマートフォンのアプリを作る会社におりました。いずれの会社でも色々なシステムを導入して使っていましたが、いち従業員目線から「使いにくいな」と思うことが多かったんです。 
また、スマートフォンのアプリを作る会社にアプリの企画をするプロダクトマネージャーとして入社し、いくつものアプリケーションを作っていく中で、ワクワクしながら「これいいですよね!」とリリースした機能がユーザーに全然使われなかったことが結構ありました。その時に初めて、システムを作る人と導入する人双方の気持ちを理解でき、こうした作り手と使い手の間に生じるギャップを埋めたいなという思いが芽生えました。どちらかというとプロダクトマネージャーというシステムの作り手としての原体験が強かったので、当初は作り手側向けのサービスを構想していました。
しかし、市場調査を進めるうちに「ユーザー(使い手)側の方が課題感が大きい」と思ったので、途中からユーザー向けのサービスにスイッチしました。現在は、SaaSベンダー向けにもサービス展開しています。


構想段階からどのような経緯で起業に至ったのでしょうか?

CTOである日比野の存在が大きいです。
私は2年程先に退職してフリーランスとして活動していたのですが、前職の同僚で、育児休暇中の日比野と一緒に食事をする機会がありました。その当時、彼は彼で全く別のサービスの構想で「自分で起業する」と言っていたので、「じゃあ一緒にやらない?」と誘ったのが始まりです。
彼とはビジネスアイデアの段階からずっと壁打ちやブレストをしていて、「 テックタッチ」のようなサービスのアイデア以外にもいくつか事業の案はあったんです。ただ、彼の意見は「僕たちがやるべきなのは、実際に自分たちが感じた苦労や課題を解決するようなことだよね」でした。だからやっぱりこの領域でやっていこうよ、と2人で合意したのを今でも覚えています。


立ち上げの前からお二人とも共通の課題感をお持ちだったんですね。

前職では、開発サイクルを短くして、どんどんいろんな機能をリリースしては、 結果をデータ計測して機能ごとに⚪︎✖️をつけて、次の機能をリリースするというようなことを細かくやっていました。
その時に1番困ったのは、そもそもアプリが利用されていないので、⚪︎✖️評価をできないということでした。データが貯まるまでに数ヶ月かかってしまうため、経営判断が遅れるといったことも起きていました。
この体験があるからこそ、「作ったものがちゃんとユーザーに届く」ってすごく大事で、ユーザーにとっても価値があるから、そういう課題解決をしたいねと、話していました。


 

DX推進に潜む課題感への着手



どのようなお客様の課題を解決しているのでしょうか?

お客様のタイプとしては主に、1)国内の大手企業、 2)SaaSプロダクトなどのシステムを提供している企業、 3)政府や自治体などの公共セクターです。全てのお客様に共通して「ユーザーがシステムを簡単に使いこなせるようになる」という課題解決を提供しています。
まず一つは、いわゆるエンタープライズ企業と呼ばれる、国内の従業員規模2,000〜3,000名以上の大手企業がスムーズにSaaSプロダクトを運用できるように支援することです。近年、多くの大手企業がDX化を推進する中で、SaaSプロダクトの導入数もどんどん増えています。このようなSaaSプロダクトを導入する際に、各ベンダーは「あるべき業務オペレーション」を提案していると思いますが、システムさえ導入すればなんとかなるのではないかという思いのままシステムを導入してしまう。その結果、システムに合った業務オペレーションの整理や見直しが未完成なまま進めてしまい、導入がスピーディにいかない、せっかく導入したシステムは使いにくく、特に現場社員の方々にとっては作業の工数だけが増えて不平不満が募るという問題が発生します。SaaSやシステムを提供しているベンダーが提唱している、「あるべき業務オペレーション」を「テックタッチ」を導入することによって、共に実現しましょうというのが課題解決その1です。
課題解決その2としては、SaaSやシステムを提供しているベンダーとパートナーシップを組ませていただく、というものです。SaaSプロダクトに「テックタッチ」のナビゲーションを入れて販売することで、導入する企業のオンボーディングが、よりスムーズに進められるようになります。
3つ目は、公共セクター向けへのサービス提供です。官公庁や自治体などが使用している、国民・住民向けのシステムや、職員の方々が使う業務システム上で「テックタッチ」を実装いただいています。UI/UXの最適化はデジタル庁としても公共セクター向けサービスの課題として掲げているものです。


具体的な機能や強みはなんですか?

誰でも簡単に、ノーコードでナビゲーションを作れることが強みです。従来、システムの画面を変えようとすると、社内のエンジニアに依頼して改修し、テストをして開発のサイクルを1度回さなければいけませんでした。「テックタッチ」は、ビジネス側やマーケティング側の組織が、パワーポイントを操作するような感覚でシステムを使いやすくするナビゲーションや操作ガイドを作れる点が我々のサービスの強みであり、革新的な機能だと考えています。


サービスの差別化要素について教えてください。

日本のスタートアップのソリューションで、これほど大手企業に導入いただいているのは珍しく、我々以外にあまり前例はありません。同じ領域に外資系の同業他社さんはいますが、国内においては当社が3年連続でトップシェアであり、互角以上に、むしろ一歩も引かずに戦えている日本発のスタートアップというのが我々のユニークネスであり、強みだと思っています。


 

新しいコンセプトを後押しする市場トレンド


テックタッチを取り巻く市場感と今後の成長予測について教えてください。

DAP市場は、現在の市場規模からは、少なくとも数十倍に拡大すると予想しています。
日本国内で従業員2,000名以上の規模の会社は1,800社ほどありますが、DAPというソリューションを導入しているのはまだ全体の5%にも満たないという現状です。まだまだ、アーリーアダプターの気質を持つ企業様から導入が進んでいるソリューションですので、 ここから市場としては一気に伸びてくると思っています。


今後の成長を後押しする要素は何かありますか?

今後のトレンドで言うと いわゆる「2025年の崖(※)」問題というものがあります。ヨーロッパ最大のソフトウェア会社・SAPが提供するアプリケーションの保守サポート期間が終了し、今後はWebベースのSAP S/4HANA※3への切り替えが必要になります。そのため、大手企業の多くがSAPの切り替えプロジェクトを行っている状況です。
もともと日本企業の良いところでもあり、一方で課題とも言えるかもしれないですが、業務に合わせてソリューションをカスタマイズする慣習があり、SAPのローカル版も同様の使われ方をしてきました。何が起きるかというと、メンテナンスコストが非常に高くなります。
SAP社としても、カスタマイズせず標準版の導入を提唱しているのですが、ユーザーにとって、なかなかすんなりいくものではないですし、標準仕様だと使いにくいという声も上がってきます。そういう場面で、我々の「テックタッチ」を通じてスムーズに切り替えるサポートをしています。
また、このタイミングで同時にSaaSプロダクトの導入も増える一方で、ユーザー各社のお悩みとして、SaaSプロダクトをすぐに利活用できない、 そして利活用できないから二の足を踏んでしまったり、導入のスピードが遅くなるといったものがあります。このように、DX化でビジネスのオペレーションをアップデートしていこうという流れの中で、「テックタッチ」が使われるシーンが加速的に増えてきていると実感をしています。

(※)2018年に経済産業省が公開した「DXレポート」内で言及された。

※2: ドイツに本社を置く「SAP社」が開発し提供するERPパッケージ。ERPとは企業の経営資源である「ヒト・モノ・カネ」の情報を一元で管理し、可視化するシステムの総称

※3: SAP ERPソリューションの現行製品。クラウドによる処理高速化で、企業経営における工程のスリム化も実現が可能。欧州SAPは2020年2月4日(現地時間)、「SAP ERP 6.0」のメインストリームサポートを2027年末まで提供と発表



今後の更なる成長に向けて、感じている課題やチャレンジはありますか?

DAPはブルーオーシャンな市場であり、数年前まで存在しなかったサービスなので、「コンセプトは理解できたが、実際に使ってみるまではイメージが湧かない」とお客様からのお声をいただくことがあります。とりあえず使っていただくと、「他のシステムでも使おう」と価値を感じていただけるんですね。まず最初は1部門でもいいので、「テックタッチ」の世界観を試していただきたいと思っています。


1部はここまで!

1部では、サービス内容や創業秘話など、事業の全体について伺って参りました。

2部では、今後の事業の成長に対して、どんな組織の体制を作っていくのか、必要としている人材について伺って参ります。


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