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「面白そうだからやる」信念で常に大きな挑戦を

更新日:7月25日



今回は株式会社ユーザベース スピーダ事業 経営企画・金融機関・コンサルティングファーム支援共同責任者 上級執行役員の千葉信明様へのインタビューを実施。千葉様のキャリアや仕事で大切にしているポリシー、今後のユーザベースについて伺った。


プロフィール:

株式会社ユーザベース 

スピーダ事業 経営企画・金融機関・コンサルティングファーム支援共同責任者 上級執行役員

慶應義塾大学経済学部卒。三井住友海上火災保険株式会社で代理店営業を経験後、株式会社CyberZにて新規事業立ち上げに参画、同社広告代理店事業ではゲームアプリの国内および海外マーケティングに従事。 2018年にユーザベースに入社し、INITIALのセールスを担当。 2020年よりSPEEDA&INITIALのカスタマーサクセスチームリーダー、INITIAL CCO(Chief Customer Officer)を経て、2021年4月、株式会社ユーザベース INITIAL事業 執行役員 CEOに就任。2024年1月より現任。



目次


 

これまでのキャリアについて


千葉様のご経歴を教えてください。

2012年に新卒で三井住友海上火災保険に入社し、自動車販売ディーラーを代理店とした代理店営業に約3年ほど従事しました。その後、2015年にサイバーエージェントグループのCyberZに転職をし、新規事業や広告代理店事業の営業、営業マネージャーを経験し、メディア事業部として番組制作をしながら、広告商材の作り方や売り方を学ぶ4年間を過ごしました。そして2018年にユーザベースにジョインし、今に至ります。


1社目の大手保険会社からITの領域にキャリアチェンジをされたきっかけはどのようなものがあったのでしょうか?

三井住友海上はとても素晴らしい会社だと思っていますが、私は世の中のことをよく知らずに、周りに流されるように、新卒の就職活動をしていたので、「大手企業であれば良いよね」という感覚でした。
新卒1〜2年目で、お取引先の経営者の方々が生き生きと働いているのを目の当たりにし、漠然と「自分も事業を作れるようになりたい」「経営者になりたい」と感じていました。
そんな思いがある中、金融業界では個人情報を取り扱うため仕事を自宅に持ち帰ることができず、決められた時間と空間と環境で働くという部分に居心地の悪さを感じていました。もっと働きたかったんです。当時、よくメディアに取り上げられていたIT企業の起業家たちのがむしゃらに働いている現実を見て、IT業界への転職を決めました。
そして転職活動中に出会ったのが、CyberZです。サイバーエージェントグループは新規事業や子会社が多数あり「自分にもチャンスがあるかもしれない」と思い、転職を決めました。


2社目のCyberZでのご経験や、その後の転職理由を教えてください。

2社目はサイバーエージェントグループ内のCyberZという子会社に入社しました。
ありがたいことに比較的早く営業マネージャーに昇格し、グループ総会でもベストプレイヤー賞に選んでいただいたりと、とても評価していただいていたと感じます。
その後、番組制作や広告をやっていく中で、四六時中エンターテイメントのことを考えられないな、と思ったことがありました。一緒に働いていた番組ディレクターに「なぜそんなに一生懸命仕事をできるのか?」と聞いたところ「好きな声優やゲーム、IPコンテンツに関われているし、それを打ち出す側にいること自体が嬉しい」と言われ、自分はそこまでの熱量でやれていないなと感じました。
作り手や頑張っている人たちの想いが届くこと自体はとても好きですし、広告代理店として、フリーランスのような形で独立することも選択肢として考えられましたが、より大きな規模の組織で活躍できるような経営者になりたいという思いがありました。
そんな中、ユーザベースとの出会いがあり、会社のビジョンやミッションや文化が合致したので、転職を決意しました。


現在のユーザベースでの役割と、入社後のキャリア遍歴を教えていただけますでしょうか?

7月からサービス名がスピーダに統合されましたが、金融機関やコンサルティングファーム、事業会社の経営企画部門の顧客を担当する、旧SPEEDAと旧INITIALの2つのプロダクトのインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、コミュニティの組織を執行役員として管轄しています。ユーザベース入社後はINITIALの前身のentrepediaというサービスの営業担当をしつつ、営業組織を作るというミッションがありました。
営業担当者として入社したのですが、入社初日に出社したら佐久間さん*1から「営業は千葉のチームだから今日の採用面接やってくれない?」と言われ「はい、わかりました!」という感じで入社初日から面接をやるという機会をいただき(笑)そんな状態から営業組織を作っていきました。そこから1年半、INITIALという名前にサービスがリブランディングされ、私自身はCCO(チーフカスタマーオフィサー)として役員になり、その半年後にCEOに就任しました。

*1:2013年にユーザベースに参画し、SPEEDA日本事業担当、FORCASとINITIALのCEO、SaaS事業担当取締役を経て株式会社ユーザベース代表取締役 Co-CEOに就任



 

千葉様の仕事に対する考え方について


各企業でいわゆる出世コースを歩まれてこられたのかとお見受けしますが、意識していたことはありますか?

自分と周りで何の差があるのかはしっかりと見極めるようにしてました。それが適切な情報や知識を持っているか否かの差なのか、スキル的な差なのかなど。
先輩や経験者と比べると、スキルの差はもちろんありますが、知っているか否かの違いが実は大きいのではと思い、とにかく情報をインプットする、というのを心がけていました。
情報や知識を持っていたら解決できることのインプットにはできるだけ早いタイミングで時間を割くようにしています。新しい環境では、社内フォルダーを漁って過去の資料や役員の話、社内SNSでのやりとりなどあらゆる場所から情報のキャッチアップをすることを徹底するよう心がけていましたね。


仕事をする上で、大切にしているポリシーはありますでしょうか?

チームプレーの精神と誠実であること、そして成長し続けることです。
チームで動くということは、各部門のプロダクトに込められた想いなど、自分だけではなく営業組織も開発組織もみんなでバトンを繋いでいるという感覚になれば、適切な緊張感も出ますしそういった一体感が好きです。
また、私自身が小学校から高校まで野球をやっていたこともあり、団体で動くこと自体が好きですし、関わる人が多いプロジェクトにはワクワクします。多くの人と関わるためには誠実であることが前提であると思っています。
また、成長し続けることに関しては、何も考えずに同じことを繰り返していくことがあまり得意ではないので、成長して違うステージや違うポジションに向かってどんどん進んでいることが、私のエネルギー源ですね。


良いチームを作るために千葉様が意識されていることを教えてください

ありのままでいることが大切だと思っています。私自身も腹を割って話せて、心理的安全性が保たれた環境作りを心がけていますね。ただ、心理的安全性といいつつ、馴れ合いとは違う、強さがある組織が理想です。そういった組織風土を保つために、特に私自身が率先して誰よりも動くことを意識しています。それでいて皆が同じ方向に向かって熱狂しているチームが良いですね。そんなチームを作りたいと常々思っています。

 

日本のスタートアップの今後



日本のスタートアップ業界の最前線にいらっしゃると思いますが、今後のスタートアップはどうなっていくと思われますか?

過去6年間ほどスタートアップ情報プラットフォームに携わってきた経験から、市場全体の変化が大きくなっていると感じます。
岸田政権からも「スタートアップ育成5カ年計画」を掲げていたり、日常の生活やテレビなどのマスメディアでも「スタートアップ」という言葉を目にする機会が増え、スタートアップが身近な存在になってきています。数年前には全く異なる業界にいた友人と話していても「ファイナンスが〜」「CVCが〜」という言葉が普通に飛び交っていることにも驚きを感じます。
スタートアップ市場を見ても、全体の資金調達の総額が一兆円近くまで拡大しております。前年割れが少し続きそうな状態ではありますが、直近の内訳を見るとシードやアーリーフェーズのスタートアップの資金調達額が増えています。
一方、レイターステージのスタートアップの調達額は少し下がっています。
今後の課題としては、ユニコーン企業のようにレイターステージで大型の資金調達をしたり、大きくIPOを実現する、いわゆる”外れ値”となるような企業が増えていくことだと感じています。
People Xの橘さんやNewmoの青柳さんのようにシード段階で約15~16億円と大型の資金調達をするスタートアップの事例のように、こういった企業は自然とその後のステージの調達額も大きくなっていくので、例えば5年後、10年後にメルカリのようなモデルケースが増えていく兆しがあるのかなと思います。


”外れ値”となるスタートアップ企業を増やすためには、何が必要だと思いますか?

スタートアップ企業の出口の選択肢を増やすことと、シリアルアントレプレナー(連続起業家)の存在だと思います。
前述の通り、スタートアップ起業の数やファイナンスの額は増えているのにもかかわらず、年間で新規上場する企業数は約100社/年と横ばいになっています。つまり入り口の数は増えているが、出口(エグジット)は増えていない、という構造的な課題があります。理由としては様々ありますが、東証や監査法人のリソース不足や上場区分の入れ替えなどもあると思います。なので、すぐに倍になることはない。
この課題を解決する手段の一つとして、出口の手段、具体的にはM&Aの件数を増やすことが挙げられます。日本ではアメリカと比べ、M&A文化があまり浸透していない現状があり、そのためイグジットの選択肢としてIPOが第一想起されることが多いです。スタートアップ起業家がIPOすると上場後に社長として居続けることが前提になるため、もう一度起業をしようというマインドも持ちづらく、連続しての起業も発生しにくくなってしまいます。
起業家がM&Aをするという選択肢を持てるなら、起業した会社を売却してもう一度起業して、さらに高い額で売却して...と何度も繰り返すというマインドを持つことができます。こういったシリアルアントレプレナーの方々が”外れ値”となるような企業を生み出していくのだと思っています。


 

千葉様とユーザベースの今後について



ユーザベースの執行役員として、そして千葉さん個人として今後実現したいことを教えてください。

今までINITIAL(現:スピーダ スタートアップ情報リサーチ) を管掌してきた身としては、日本を動かしてる大手企業にスタートアップの世界観を届けたいなと思ってます。
大手企業にとってスタートアップというのは、いずれ競合になり脅威となる可能性もありますし、もしくは共に業界を牽引していく共創パートナーにもなりうる存在です。
経済情報の最先端としてスタートアップの情報を追っていかないといけないと思いますし、スタートアップというものをもっともっと身近にしていく。そこが私がユーザベースでやり遂げたいことです。
私個人としては、規模がより大きい組織と事業を作ることと、「おもしろそうだからやる」という考えに基づいてチャレンジすることですね。2年ほど前にお世話になっている知人と話す中で「理由を並べるよりももっとシンプルに、『おもしろそうだからやる』でいいんだよ」と言われた言葉が印象的で、今でも意思決定をする際の基準にしています。この基準で物事を決めるためには、自分自身の能力もお金も時間も必要になるため、そういった意思決定ができるよう頑張っていきたいです。
「おもしろそうだからやる」という考えを基に、いつになるかはわからないですが、いずれスタートアップ的な起業をしたいですね。ここ数年間スタートアップ界隈にいるので、自分自身もどこかでチャレンジしないとなと思っています。


貴社の再上場の観点から伝えられることはありますでしょうか?

ユーザベースが非上場化しファンドが入って再上場を目指すのは、今後のスタートアップの企業成長のあり方として、1つの事例になり得る可能性があるかなと思います。
今はユーザベースとしての力を統合している最中で、これから一気に組織のフェーズが変わり、組織のマネジメントする人数も大幅に変わったり、マーケティング手法が変わったりと、目の前に現れた課題を解決するだけでも成長を実感できるので、魅力的だと感じます。


 

スタートアップに関わる人々へのメッセージ


最後になりますが、現在スタートアップで働かれてる方々に対して、メッセージを頂戴できますか?

スタートアップは個人が主体性を出して自らのアイデアを形にしやすく、その活動自体が働く個人個人の幸福度を上げることにつなげられる環境だと思っています。
一方で、主体性を持ちやすい分、営業で失注したり何かのアイディアを却下されると、自分そのものを否定されているようにも錯覚してしまうこともあるかと思いますが、そんな状況も楽しめるのがスタートアップだと思います。
給与水準もどんどん上がってきていますし、仮に「違うな」と思ったら転職という選択肢もあるので、まずは一度触れてみて欲しいですね。迷っているならまず入ってみる、合わなければまた転職すると良い、それくらいシンプルに考えていいと思うんですよね。
やりたいなと思う人がいるなら早く飛び込んでみて、転職などのプランBも持っておきながら、挑戦したり、その環境で最大限自分の能力を発揮できるようにしていただきたいです。

最後に皆様の背中を押していただけるような言葉もありがとうございました。



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